東埼玉新聞社
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2016.12.19(月)
小川氏の議員失職、上田県知事が取り消す
「市外の証明ない」「市内の生活本拠否定できず」

 草加市議会が全会一致で議決した小川利八氏(49)の“議員失職”で、小川氏が上田清司県知事に取り消しの審査を申し立てていたが、12月15日、上田知事は草加市議会の決定を取り消す裁決を下した。知事の裁決は“最終結論”であるため市議会の対応策は無く、小川氏は市議会が議決した9月1日に遡って市議の地位を回復した。
 草加市議会は、16日午後に鈴木由和議長らが記者会見し、裁決そのものは制度上受け入れざるを得ないが、「議員資格の決定は市議会に委ねられており、結果は大変遺憾だ」とコメントした。多くの市議は戸惑いを隠せないでいる。
知事が草加市議会の決定を取り消した理由は下記の通り。

裁決理由(埼玉県ホームページから)
①審査申立人は、旧自宅の退去後、一時的に草加市内の知人宅等に宿泊したこともあったが、草加市外に居住していたことを示す客観的な証拠等がない中で、審査申立人は親族宅に居住していたとの陳述と、草加市内に居住しようとする審査申立人の意思等を踏まえると、親族宅、その後は現自宅に生活の本拠があったことは否定できず、草加市内に住所を有していたと考えられる。
②議員の身分を失わせる処分である以上、市議会議員の資格のうち住所要件が問われた本件処分においては、処分庁は生活の本拠がどこにあるかを判断すべきであったと考えられる。

 小川氏の審査請求は、県の自治紛争処理委員(代表委員・須田建治十文字学園女子大学客員教授・前新座市長、藤池誠治県経営者協会副会長、山本正士弁護士)が5回の会議で審査した。会議は非公開で行われ、小川氏、親族、知人から意見聴取したといわれる。委員3人がまとめた意見書を受けて知事が裁決した。
 ※草加市議会の詳細は6月14日8月22日9月9日の各記事をご覧ください。

自治紛争処理委~本質に無理解、本人の陳述を重視
 裁決の全文は公表されていないが、理由の要旨から知事と自治紛争処理委員の基本姿勢が読み取れる。
 一つは、問題を居住の実態が市内にあるか、市外にあるかの図式でとらえ、市外の客観的な証明がないとしている。調査し決定を下した市議会は司法の捜査機関ではないため、権限の強い100条委員会と謂えども限界がある。それを承知で「証明」を求めているのだろうか。
 小川氏のケースは「市内か市外かではなく、どこに生活の拠点があるかわからない」=住所不定者が議員に相応しいかどうか、という全国初の問題。小川氏自身が草加市内のどこに生活拠点があるか証明できなかったため、市議会は総合的に判断して議員資格を有しないと議決した。偽証の疑いで告発されたように、父親宅には5月の25日間で半分以下しか寝起きしていないし、6月以降は父親宅以外に泊まったことはないと証言しながら長期の不在が指摘されている。
 二つ目は、小川氏の陳述と草加市内に住みたい意思を尊重していること。本人や親族からの聞き取りを中心にした審査では、父親宅に生活の本拠があったことしかでてこない。市議会の資格審査特別委員会の議事録と突き合わせ、検証したのか疑問だ。同氏の証言には「?」マークが常に付きまとう。特別委の議事録にいくつも見られる。
 小川氏は、借家を退去した後、知人宅の住所を借りて住民票を移動しようとし、弟宅を使った住民票移動届で「住民票消除」された。住民基本台帳法を犯してでも草加に市内に住民登録しなければならない、これが同氏の「草加市内に居住しようとする意思」。議員であり続けるには…である。議員だから犯かさざるを得ない、議員にあるまじき違法行為が問題の発端であることを忘れていないか。
 このことは、住民登録さえしておけば、生活拠点は市内のどこだろうが議員でいられるし、バレなければ市外だって可能になる。
 三つ目は、疑わしきは罰せず、の原則を採用していること。裁決は、「親族宅に生活の本拠があったことを否定できない」と疑わしきは罰せずの立場をとった。これはこれとしてあり得ることだが、「陳述と意思」から導かれた結論は審査に値するのか? 一方、議員の身分に関わることだから「市議会は生活の本拠がどこにあるか判断すべきであった」と市議会を責めている。知事と自治紛争処理委員は、特別委の議事録を精査し事実認定を目指したのだろうか。
 市議会側にも「疑わしき…」の観点がなかったわけではない。が、小川氏の証言と実態が余りにもひどいため「生活拠点を特定できなかった」結果、総合的に心証判断をした。

特別委の調査と齟齬、全員一致で資格なしの重み
 県知事の裁決を受け、鈴木由和議長,西澤可祝副議長、浅井昌志資格審査特別委員会委員長が記者会見した。
 鈴木議長はまず「小川氏の意見陳述は、特別委と自治紛争処理委員会議で食い違いがあるのに、特別委の内容は考慮されず、自治紛争処理委での陳述のみで判断された。地方自治法で市議の資格の決定権は市議会にあることを鑑みても、このような結果になり大変遺憾」と述べた。
 また、「議員という職において自身の所在を明らかにすることは当然の責務。裁決は現職議員が住所を明らかにしなくとも資格を有すると認めた内容だ」と採決を批判。「全員一致で資格なしと可決したことは大変重いものであると感じている」と締めくくった。
 議員の反応は「悔しいけど結果は結果」「挨拶はしますけど、世間話もしたくないね」「議員の資質が問われたんだよ。同じと思われたくない」など、受容する者、復職した小川氏との付き合い方を考える者、自戒する者など複雑だ。
 小川氏は市議に復帰し5期目の任期を継続する。会派は無所属(特別委で調査中に草加新政クを離脱)。9月1日からの議員報酬と期末手当約301万円が支給される。公職に戻り厳しい目が注がれることになる。




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