東埼玉新聞社
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2014年4月25日 第189号−1
どうしたの!? 越谷市議会 歴史的汚点2連発 
  @辻議員のツイートに“反省処分”〜言論・表現の自由を抑圧
  A佐々木議員のセクハラ容認〜市民感覚から遊離
 越谷市議会は、昨年12議会で、ツイッターの発言を、議員の広報活動は「客観的事実に基づく」「市民に誤解を与えない」という代表者会申し合わせ事項に反しているとして、発信した辻浩司議員(民主党・市民ネット)に反省を求める決議を採択した(賛成15反対14)。
 この3月議会では、佐々木浩議員(清流越谷)が議案質疑の中、不必要に女性議員の年齢をあげつらったことがセクシャルハラスメントに当たるとして、同市議会としては33年ぶりの懲罰動議が提起されたが否決された(賛成13反対16)。
 さらに3月議会には、辻議員に反省を求める決議の撤回を求める請願が3700人を超す署名を添えて提出された。12月議会と同じく激論が交わされ、総務委員会で採択されたが本会議で不採択となった(賛成14反対15)。
 どちらの件も、表現の自由・人間の尊厳という基本的人権に関わるテーマであり、守るべきだという討論が多数を占めた。賛否が拮抗しているのは、会派としての意見統一が徹底している結果である。2件とも越谷市議会の歴史に汚点を残したことは間違いない。
【表現と思想の自由を侵す反省を求める決議】

説得力に乏しい「緊急性なし」の理由
 辻議員のツイッターは「越谷市議会では、自民・公明両党の不当な反対で、意見書の提案そのものが阻まれました」というもの。
発端は特定秘密保護法が衆議院を通過した直後の12月議会初日に、辻議員の会派・民主党・市民ネットが同法の強行採決に抗議し慎重審議を求める意見書の提出を議運に提案したが、緊急性がないという理由で自民党市民クラブと公明党が反対し、全会一致にならなかったため提案できなくなった。意見書の提案は開会前の全員協議会までに提出する決まりで、緊急性のある場合は開会日でも認められてきた。
 議運で「緊急性」の議論が激しく行われた。緊急性がない主な理由は、@地方議会が国会に関与するのはなじまないA国会で審議中であるB先議(議会初日に議論し採決する)が必要だから―だった。
自民・公明両会派の委員は同じ言葉を繰り返し、7会派のうち4会派の委員を納得させる内容でなかった。
両会派は「不当」の文言削除を求め“軟着陸”を目指したが、辻議員は拒否した。このことが「反省がない」となり、決議提案の理由になっていった。

「不当な反対で…阻まれた」は意見表明
 反省をもとめる決議は「主観として不当と発言・発信したことは、私たちがルール違反をしているかのような誤解を与えるものであり、看過できない」と主張している。
 「不当」という言葉を問題にしているが、「不当」は違法とは違うしルール違反でもない。理屈に合わない、正しくないことなどで、基準は人それぞれである。
 辻議員が使った「不当」の言葉は、緊急性がないとされた意見書提出問題に対する評価であり、理解できない反対理由への意見表明である。
 誤解を恐れずに言えば、すべては受け手の勝手なのである。気に入らない、市民に誤解を与えると感じる人もいれば、その通りだと賛成する人いる。自民・公明両会派議員が「ルール違反をしているかのように誤解を与える」と思うことも受け手側の勝手。
 この相対性を認めなければ表現と思想の自由は保障されない。だからこそ議会が言論の府と言われ、対話と熟議を重ねる機関なのではないか。

自己保身のため ? ツイートに矛先
 自民・公明両会派は「不当な反対で…阻まれた」の文言が、党員を不愉快にし、支持者をはじめとした市民に誤解を与え、議員の広報活動に関する議会の申し合わせ事項に抵触する、と反省決議を提起した。
 当時、同法案が衆議院で強行採決され参議院に送られた状況で、参議院での慎重審議を求めるのは時宜にかなった意見書の提案だった。理由にならない理由で緊急性を否定した自民・公明両会派の議員には、審議打ち切り、強行採決という“民主主義の破壊行為”にフタをし、特定秘密保護法に反対する世論の広がりを防ぎたい思惑が透ける。
 一方では、支持者の指摘に説明しきれないため、矛先をツイートの文言に向け、自己保身を図ったといえる。
12月と3月の両議会で出た意見だが、「言論には言論で対処するのが議員の本分」である。公党を名指しで批判され「侮辱された」と感じる感覚は理解し得るが、 「誤解を与えた」内容なら言論で応じればよい。政党人ならば、きちんと反論するか、支持者を説得すべきだ。それが政党人の矜持というものでは。

本人に弁明させず 後世への悪例に
 犯罪行為ならいざ知らず、議会外の言論に政党人として言論で対応できず、自己保身のために議会ルールを悪用するのは“すり替え”で無茶苦茶な話。憲法上の基本的権利を議会人が踏みにじることがあってはならない。しかも、本人に弁明の機会すら与えないという乱暴な決議採択である。後世への悪例となろう。
 このやり方が認められるならば、批判的意見が次から次へとヤリ玉に挙げられることになりかねない。「客観的事実」を御旗にした“言葉狩り”の風潮があるだけに心配だ。
 次ページの懲罰問題と併せて言えることは、同僚議員の存在すら認めない部分があり、その偏狭さが問題をこじらせ、さらに不信を増幅させていること。相手を思いやる気持ちが“カケラ”でもあれば、良識と評価される判断が生まれるかも知れない。

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